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特集

福島出身のジョッキーが語る
福島競馬場と福島の魅力
江田照男騎手 × 田辺裕信騎手

競馬文化が盛んな福島県からは現在も現役で活躍しているジョッキーが誕生している。 今回はデビュー29年目を迎える江田照男騎手とデビュー17年目を迎える田辺裕信騎手に対談していただき、 競馬場の印象やコースの特徴などを語ってもらった。

江田照男(左) 田辺裕信(右)

競馬との出会いは対照的だった

――今回は福島県出身のジョッキー、江田照男騎手と田辺裕信騎手のお2人にきていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

江田照男騎手(以下、江田)

はい、よろしくお願いします。なんでも聞いてください。

田辺裕信騎手(以下、田辺)

よろしくお願いいたします。

――普段、お2人の仲はいかがなのですか?

江田

とりたてて一緒にどこかへ行くとか、遊ぶといったことはないけど、顔を合わせればもちろん挨拶はするし、普通に話もしますよ。

田辺

江田さんは大先輩ですからね。友達というのとは違うけど、面倒をみていただいて、仲良くしてもらっています。

――福島といえば競馬場も有名ですけど、お2人が騎手になった理由にご当地の競馬場も関係していましたか?

江田

いや、僕の場合は関係なかったですね。実家は浅川町なんだけど、福島競馬場までは車を使っても2時間くらいかかるんじゃないかな……。僕自身、(福島競馬場には)競馬学校の試験会場になっていたから受験の時に初めて行ったくらい。小さい頃は1度も行ったことはなかったです。

田辺

僕の場合は、競馬場は家からすぐ近くでした。父親は競馬が大好きだったので、小さい頃からよく連れて行かれていました。開催日でない場外発売所(パークウインズ)として開いている時にも行きました。というか、そういう日の方が多かったくらいよく行っていました。

――江田騎手は競馬学校生徒募集のパンフレットをみて、騎手になろうと思ったのですよね?

江田

そうですね。競馬はよくわからなかったけど、パンフレットに受験資格の身長、体重、視力が明記してあって、それらの条件をすべてクリアーできていました。それで申し込んで受けました。合格の報せは封書で届いたんだけど、それが分厚かったので、開封するよりも前に『受かったな』って思いました。落ちていたら紙1枚で済むでしょうからね(笑)。

――田辺騎手は競馬ファンのお父様の影響だったのですよね?

田辺

はい。毎週馬券を買うくらい競馬の大ファンの父に勧められて競馬学校を受験しました。自分は『落ちたら高校を受験すればいいや』ぐらいの軽い気持ちでした。

江田

高校とかと比べて競馬学校の受験日は早いんですよね。だからダメなら他を考えればよいって感じで受けられる。僕もそんな気持ちでしたよ。

田辺

そうですよね。そんな気持ちでいたので、合格の報せが届いた時は僕よりも父親の方が喜んでいましたね(笑)。

――ジョッキーになった後は福島で乗ってみたいという気持ちになりましたか?

江田

さっきも言ったように僕の場合、実家が遠かったから家族が観に来るのも大変だし、『絶対に乗りたい』という気持ちは、正直なかったですね。親は今でも実家に住んでいるけど、福島競馬はたまに来るくらいでそうひんぱんに観に来るわけではありません。来ていても連絡ないし(笑)。

田辺

僕は乗りたかったですよ。小さい頃からよく遊んでいた場所だし、父親も観に来るだろうし……。好きな競馬場です。

江田

いや、自分も決して嫌いではない。というか、好きな競馬場ですよ!!(笑)。

――福島のレースで、好きな条件とか、苦手な条件といったものはありますか?

田辺

今はなくなったけどダートの1000メートル戦はスピードのある馬に乗っていないと話にならなかったですね。本当にノーチャンスでした。ところが速すぎると躓くケースがあるし……。

江田

そうそう。僕も最初に乗りだしたばかりの頃は『ナニコレ、乗り辛い!?』って思ったものです。

田辺

今は日本で唯一ダートの1150メートルというレースがあるけど、これは1000メートル戦とは全然違う。好きですね。1200メートル戦との違いはあまりよく分からないですけど(笑)。

――芝のレースではどうですか?

田辺

1200メートルとか2000メートルはポケットからスタートできるから好きです。1800メートル戦だとスタンド前スタートなので新馬戦とか若い馬のレースだとかなりイライラしてしまうケースもあります。でも、ポケットからのスタートだと輪乗りからすぐにゲートなので落ち着いた状態でいけるから好きです。

江田

そうだね。ファンが目の前にいるところでのスタートはテンションが上がりがちだよね。輪乗り地点から移動するだけでカリカリしちゃう馬もいますからね。

田辺

まぁ、走る馬なら長くても短くてもどこからスタートでもなんでも良いんですけどね(一同笑)。

過去には重賞も制覇 近年はフェアになった馬場

――福島競馬場での思い出となるとどんなことがありますか?

田辺

去年(2017年)、落馬して運ばれた病院が子供の頃よく行っていた場所で『懐かしいなぁ……』って思ったことですかね(笑)。

江田

自分は、公営から乗りに来ていたジョッキーが目の前を横切って落とされたことですね。『おいおいっ!!』って感じでした。

田辺

僕がデビューした頃、江田さんがよく落ちていたんですよ。派手な落ち方をして『大丈夫かな?』って心配していたら全然痛がらずに、それどころか怒りながら歩いて戻ってきて、『すごいなぁ、この人』ってよく思ったものです。

江田

以前、プロテクター着用が義務でない頃は着ないで乗って、よく落ちたけど、不思議と大きな怪我はしなかったからね。

田辺

江田さんをみていると『プロテクターいらないじゃん』って思えてしまいます(笑)。

――すみません、落馬以外の思い出はありませんか?(苦笑)

田辺

それはやっぱり重賞を勝ったことですね。

――2014年、メイショウナルトで七夕賞を制覇しました。この勝利のおかげもあってこの年のサマージョッキーズシリーズのチャンピオンにもなりましたね!

田辺

はい。テン乗りだったけど、逃げて良い馬なのはわかっていたので行かせたら逃げ切れました。直線1000メートルの競馬も使っていた馬だったからスタートも速かったし、それほど人気もしていなかった(5番人気)ので道中もプレッシャーを受けずに進めることができました。お陰でサマーシリーズのポイントを稼げてワールドスーパージョッキーズシリーズ(当時)に出場できました。メイショウナルトで福島の重賞を勝てたお陰で1度は乗ってみたいと思っていたワールドスーパージョッキーズに乗ることができたというのが、福島の良い思い出ですね。

――江田騎手もエーピーグランプリでラジオたんぱ賞(当時、1993年)を優勝しています。偶然にもメイショウナルトと同じ武田博厩舎の馬でしたね!

江田

テン乗りというところまで同じですね。エーピーグランプリは手応えが良かったので途中からハナを奪い、そのまま押し切りました。

――共同通信杯3着、毎日杯2着などで1番人気に推されていたエアマジックらを抑えての優勝でした。

江田

う~ん、そうでしたっけ……。なんといっても古い話なので忘れてしまった部分も多いですけどね(苦笑)。

――お2人とも地元福島ならもっと重賞を勝っていそうだけど、それぞれ1勝ずつなんです。意外な感じです。

江田

そうですか……。そもそも重賞自体が少ないですからね。僕としては貴重なチャンスを活かせたと思っています。

田辺

そうですね。福島は好きな競馬場だけど、重賞そのものはもう少し多くあっても良いような気がしますね。

――そう言ったご要望は、他にもありますか?

田辺

昔は開催が進むと内が荒れて外が伸びる傾向があったけど、最近はそのあたりもフェアになってきたのでこれといった要望はないですよ。良い競馬場ですから。

江田

馬場が改修されてから比較的最後まで綺麗な状態を保てるようになったよね。もしかしたらその分、観ている側の面白みには欠けちゃうのかもしれないけど……。

田辺

福島のファンは馬券が上手って言いますからね。前よりも整備された馬場だとかえってつまらないかもしれませんね(笑)。

江田

それって本当なのかな?

――以前、読んだ新聞の記事には『他場よりも回収率が高い』というデータが示されていました。あのデータが正しければ『福島のファンが馬券上手』というのは本当ということになります。

田辺

みんな生活がかかっていますからね!(一同笑)。

立地の良い条件とまとまりのある施設

――では逆に福島競馬場ならではの良いところはどこでしょうか?

田辺

まずはこじんまりとしているところでしょうね。へんに大きくない分、無駄な動線がなく行動できます。

江田

調整ルーム、検量室、装鞍所がみんな近いよね。その分、パドックはちょっと遠いけど、僕らジョッキーにとっては動きやすい。

田辺

あと新幹線の駅から近いのもよくないですか? 新潟競馬場などは新潟駅からまた少し距離があるので新潟駅に着いてもまだ到着したっていう感覚にならないんですよね。

江田

そうだね。新幹線の駅からは最も近い競馬場なんじゃないかな。そういう意味では遠方から観戦しに行く分にも、便利だと思いますよ。

――では今度は競馬以外で福島のオススメを教えてください。

田辺

 温泉がそこらへんいたるところにあることじゃないですか。僕らは今、美浦近辺に住んでいるんだけど、あのあたりは温泉が全然ないんですよ。

江田

たしかに福島は温泉だらけだね。あとは果物がうまいよね。

田辺

あ! そうですね。福島に住んでいる頃は美味しいモノを食べるのが当たり前で気付かなかったけど、今、思うとあんなに美味しい果物をしょっちゅう食べられるというのは幸せだったんですね!

――具体的にはどんな果物があるのですか?

江田

なんでもありますよ! リンゴとか、桃とか……。あと果物ではないけど米も美味しいです。

田辺

あとは喜多方ラーメン。あれは美味い!! 誰が作っても美味い!! むしろ喜多方ラーメンを不味く作る方法があるなら教えて欲しいくらいです(一同笑)。

――今回はありがとうございました。これからも福島競馬ならびにJRAの競馬が盛り上がるように、お2人とも良い騎乗をみせ続けてください!!

江田

はい! 応援してもらえるように頑張ります!! ありがとうございました。

田辺

どこでもそうですけど、福島でも今まで通り頑張って乗ります。よろしくお願いします。ありがとうございました。

――ありがとうございました。

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